よくあるご質問 - ふっ素樹脂ガスケットに関するご質問
Q1 PTFE被覆ガスケットは、なぜ圧縮破壊しやすいのですか?
フランジとの摩擦力が小さく、締め付けたときにガスケットが滑り、径方向へ変形しやすいためです。
PTFE被覆ガスケットは、ジョイントシートなどの中芯材を、PTFEの外皮で被覆した構造をしています。
シール面がPTFEで覆われているため、非汚染性、耐薬品性に優れている反面、フランジとの摩擦力が小さく、締付による径方向への変形が生じやすくなっています。その変形に中芯材が追従できなくなったときに、圧縮破壊を起こします。以下に、模式図でご紹介します。
以上の理由により、PTFE 被覆ガスケットの許容締付面圧はジョイントシートなどに比べるとかなり小さくなっています。このガスケットは、最小締付面圧(水油系流体:9.8N/mm2、ガス系流体:14.7N/mm2)と許容締付面圧(29.4N/mm2)の差が小さく締付範囲が狭いので、適切な工具(トルクレンチなど)を用いて目標の締付トルクで締め付けることが必要です。
また、ガスケットをふっ素樹脂などのライニング配管やコーティング配管に使用する場合、ライニング材とPTFE外皮の摩擦力がさらに小さくなるため、通常の金属フランジに使用した場合よりも径方向への変形が大きくなり、より圧縮破壊が起こり易くなります。
圧縮破壊の対策として、TOMBO No.1133など充填材入りふっ素樹脂ガスケットに変更することも有効です。
Q2 PTFE被覆ガスケットを使用するとき、気を付けることはありますか?
浸透した流体による中芯材の劣化や、施工時のPTFE外皮のめくれなどに注意が必要です。
◎流体の浸透による中芯材の劣化・破損
一部の流体では、外皮のPTFEの内部を流体分子(ガス)が透過する、浸透という現象が起こります。例えば、硝酸、エチレンオキサイド、ハロゲン(塩素、臭素など)、溶融硫黄、モノクロロ酢酸などはPTFEの浸透性が高い流体として知られています。これらの流体は、PTFEを侵すことはありませんが、ジョイントシートなどの中芯材を劣化させ、ガスケットの機能を損ない、漏れにつながることがあるため、注意が必要です。
対策として、ふっ素樹脂ガスケット(TOMBO No.1133など)にすることが効果的です。
また、モノマー類(塩ビモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマーなど)は、浸透したモノマーが中芯材と外皮の間で重合して膨れ、ガスケットを破損させることがあります。
対策として、早めに交換するか、モノマーライン用ガスケット(TOMBO No.9007-ML)に変更することが効果的です。
◎施工時の外皮のめくれ
メンテナンス等で、フランジの面間を十分に拡げられない状態でガスケットを装着する場合、外皮がフランジの座の端部にぶつかり、折れ曲がった状態で装着される場合があります。この状態では正しく機能せず、流体のシールが出来ない可能性があるため、PTFE 外皮が折り曲がらないように十分注意して装着する必要があります。
◎過剰締付による圧縮破壊
PTFE被覆ガスケットは許容締付面圧が小さいので、適切な工具(トルクレンチなど)を用いて目標の締付トルクで締め付けることが必要です。
★関連FAQ:PTFE被覆ガスケットは、なぜ圧縮破壊しやすいのですか?
◎負圧で使用したときの外皮の引き込まれ
負圧条件では、PTFE 外皮がフランジの内径側に引き込まれる場合があるため、外皮も全面座形状にしたり、外周を溶着するまたは縫製するなどの対策が必要です。
★関連FAQ:負圧用途では、どのようなことに注意すべきでしょうか?
その他の注意事項については、ガスケットカタログ および 取扱説明書もご参照ください。